コンクールのステージを活用しよう!

コンクールのステージを活用しよう!
~ピティナ提携コンクール総括とコンクール活用レポート

2020年度はコンクールのステージも大きな影響を受けましたが、そのなかでピティナが連携している様々な「提携コンクール」は、それぞれに独自の工夫で学習者の皆さんの本番体験を支え、前年比107%と、コロナ禍でも前年を上回る多くの方の参加を集めました。コンクールのステージを多様に組み合わせる指導者の方々に、活用法を伺いました。

提携コンクールの2020年度を振り返って

提携コンクールの申込数と地区数

コロナ禍にも関わらず、前年を超える方々にピティナ経由でお申し込みいただき、各地のコンクール主催者の皆様と、ステージを求める学習者の皆さんの熱意がグラフに表れました

2020年度の実地/動画開催の内訳
2020
全コンクール数 37
─実音審査のみ 23
─動画/音源審査のみ 9
─実音・動画 両方あり 5
動画提出を促すコンクールも一気に増加。一方で防疫対策を施し、実地開催に努めた地区の努力も見逃せない
2020年度ピティナ初参加の方の割合
2020年度も、提携コンクールからピティナのステージに初めて立った方が5,000人以上いらっしゃいました

コンクールの活用

さまざまな「コンクール」を、日頃からのピアノ指導・カリキュラムにどのように利用しているか、この秋・冬に日本バッハコンクールやブルグミュラーコンクールなど提携コンクールを存分に活用してくださったお二人の先生に伺いました。

生徒に合うコンクール選びと、大切にする横のつながり

藤澤真紀先生(長野)
信州大学教育学部ピアノ専攻卒、当協会指導会員、Okaya音の湖ステーション代表、まきピアノ教室・まきオペレッタスクール主宰。コンペ・ステップや提携コンクールを組み合わせた指導を展開する一方、ソルフェージュ・リトミック・歌の指導も幅広く行う

生徒に合った形で、継続する地力を付ける

ステージは、まずステップをお勧めし、そこに向けての準備や当日の様子を見て、コンクールがプラスになるという場合にはお声がけします。生徒本人はもちろん、保護者の方々の意欲やサポートなども大切な要素です。ステップで継続表彰を目指すうちに、モチベーションや実力がアップして、コンクールの挑戦を考えるケースも多いです。重要なのは、その生徒やご家族に合った形で長くピアノを続けてもらうことであり、楽しく継続するための地力を付けることですから、それがコンクールで実現する子もいれば、ステップの継続で実現する子、発表会だけで自分のペースを維持する子もいてよいと思っています。どの生徒にも、年の初めに年間のスケジュールを示して、どれに出たいか希望を募ります。年に2回以上はステージに立つように予定を組み、コンペやコンクールごとの特徴を丁寧に説明するようにしています。

コンクールで強くなる「横のつながり」

年々、コンペやステップ、提携コンクールへの参加を考えてくれる生徒が増えてきて、今は教室生のうち50人くらいは、何かしら参加しているでしょうか。生徒たちが挑戦してくれたおかげで、私にも指導の経験が蓄積されて、少しずつコンクールの結果が上向き、子供たちどうしで刺激になっている様子も嬉しいですね。生徒だけではなく親御さんの間でも応援したり勧めたりしあってくださるケースも見られ、私の指導にも張り合いがあります。横のつながり作りは、15年ほど前に教室を立ち上げた当初から意識してきており、同学年の生徒を集めたグループレッスンを2か月に一度行っています。ここで、生徒や親御さんどうしがお友達になり、コンクールへの弾き合い会などでも一緒になると、結束が強まって、連弾のペアなども組みやすくなっています。

一人ひとりの年間計画で、努力と感謝のチャンスを作る

真田亜矢先生(広島)
国立音楽大学卒、当協会指導会員、「響~音楽教室♪」主宰。今年度ブルグミュラーコンクールで7名、日本バッハコンクールで10名を指導するなど、コンクールを積極的に学習に活用している

各コンクールの特性を伝えて年間予定を計画

普段から教室内にコンクールのチラシや要項を置いて、「プレインベンションの曲をしっかり弾けるようになったらバッハコンクール に出られるよ」「ブルグミュラーコンクールは、ロマン派の曲のコンクールだから表現力が伸ばせるよ」などと、各コンクールの効果を伝えるようにしています。年度の初めには年間のコンクール情報をまとめたご案内を作成し、どのコンクールに参加してみたいか伺います。選択肢には「おまかせ」も入れていて、生徒ごとの成長や到達度に合わせて年間計画を立てていきます。同じコンクールに参加するのは1学年に2人までにして教室内に<ライバル>を作らないような工夫をすることもあります。

コンクールを通じて周囲への感謝を育む

コンクールを目指すからには、曲の完成度が必然的に求められ、「今までは花丸がもらえていた曲が、なかなか合格にならない」という壁に当たります。そこで支えになるのは教室内の仲間の存在。「Aちゃんもね、ここ難しいって言っていたよ」と声をかけると、憧れのお友達でも難しかったのだと分かって頑張ることができます。本番前には眠れないほどナーバスになる生徒もいますが、結果よりも努力したことのほうが意味が大きいと伝えて、本番では楽しんで演奏するように激励しながら送り出します。また、コンクール参加をひとつのきっかけとして、日ごろから応援してくださる周りの方々にきちんと感謝の言葉を伝えるように指導しています。

コンクール相談会 レポート(前編)

1月25日にオンラインで行われた「コンクール相談会」には、ピアノコンクールの活用法を知りたいという熱心な19名の会員の皆様にお集まりいただき、須崎朝子先生(広島)西松亜紀子先生(東京)のお二人をゲストに、熱心な情報交換が行われました。

「前編」として今回は、ピアノコンクール一般についての質問・回答をピックアップしてご紹介します。(後編は、3/4公開予定)

須崎朝子先生
西松亜紀子先生

初心者におすすめのコンクールはありますか?

ブルグミュラーコンクールやバッハコンクールなど、1曲だけで受けられるコンクールもあるので、まだピアノを習い始めて日が浅い生徒さんにはおすすめです。(須崎先生)

コロナ禍で動画審査によるコンクールが増えてきましたが、会場での審査と異なる点や活用方法を教えてください。

動画での審査は何度も録画し直すことができるため、自分の力を突き詰めていくことができました。一方で本番一発勝負の力を鍛えたい生徒さんには実地でのコンクールを勧めるなど、それぞれの個性にあった選び方をされるとよいと思います。(西松先生)

生徒さんへコンクール参加を促す上で大事にしていることはありますか?

特に初めて参加する生徒さんには、コンクールの厳しさや、それを通して得られるものを丁寧に説明することを心がけています。(西松先生)

コンクールで得られるものがある、というのはどのようなことでしょうか?

低学年のうちにコンクールを経験した生徒さんは、目標に向かって計画的に練習を進める力、限られた時間の中で集中して取り組む力が身につくと感じています。将来的に受験や就職、仕事の場でその力を発揮できるのではないかと思います。(西松先生)

保護者に練習のフォローをお願いする際に気をつけていることはありますか?

おうちで見当違いな練習をしてしまうとかえって回り道になってしまうことがあるため、「この部分を〇回」「メトロノーム〇〇で」というように、具体的な練習方法を伝えるようにしています。(須崎先生)

良い結果が出なかったとき、どのようにフォローしていますか?

結果が出なくても、その子の成長した部分にフォーカスし、「できるようになったこと」をしっかり褒めるようにしています。(須崎先生)

兄弟姉妹でコンクールに参加すると、結果がわかれてしまうこともあります。そのようなとき、保護者や本人にどう声がけをしたらよいでしょうか?

結果がよくなかった方の生徒さんとの対話に時間をかけ、どこがよくなかったのか、これからどう改善していけばよいのかを一緒に考えます。コンクールは一つの通過点であることを、良い結果が出なかったときほど丁寧に伝えるようにしています。(須崎先生)

コンペ開幕直前 緊急アンケート!

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皆で共有・交換して、コンペを通じた、より良い指導やより豊かなステージ体験提供を考えてまいります。3月4日のピティナ・トップニュースで記事にまとめてご紹介する予定です。

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