2018年度の提携コンクールを振り返る~そして間もなくピティナ・ピアノコンペティション開幕へ!~
参加数15,000人を突破!
ブルグミュラーコンクールがついに参加数でトップに
ピティナに関係する団体が主催し、コンペやステップと同じ「ピティナ・ステージ」のポイントが加算される提携コンクール。2018年度は参加者が15,200人を超え、ピティナ・ステージ全体の13.6%に達し、年々その存在感を増しています。
以下に、コンペ(1977年~)、ステップ(1997年~)、提携コンクール(2010年~)を合わせた参加者数の推移を掲げます。
次に、提携コンクールのみに絞って発足以来の経緯を見てみます。コンクールのタイトル自体は、昨年度の28から36に増え、地区数、申込数ともに、130%に届こうとする伸び率で増加しています。
中でも、もっとも参加数を集めたのは、ブルグミュラーコンクール。発足4年目にして、トップに「君臨」していた日本バッハコンクールを越えました。上位のランキングは下記の通り。クリスタルPianoコンクール(TOKYOポピュラーステーション)、雪だるまピアノ検定(経堂メロディステーション)といった、新たに提携したばかりのコンクールもランクインしています。ギャラクシティ音楽コンクール(文京音の泉ステーション)、20世紀音楽オーディション(白うさぎステーション)など、ステーション主催が活躍する一年だったとも言えそうです。
参加者数が多い主な提携コンクール(2018年度提携実績として)
順位 | コンクール名 | ピティナからの申込数 |
---|---|---|
1 | ブルグミュラーコンクール | 6339 |
2 | 日本バッハコンクール | 5358 |
3 | バスティンピアノコンクール | 858 |
4 | かながわ音楽コンクール | 473 |
5 | ヨーロッパ国際ピアノコンクール in Japan | 324 |
6 | 愛知ピアノコンクール | 316 |
7 | クリスタルPianoコンクール | 182 |
8 | 栃木県ピアノコンクール | 176 |
9 | ソナタコンクール | 158 |
10 | 雪だるまピアノ検定 | 88 |
バッハコンクール上位入賞者の翌年コンペ参加率は・・・?
この2月に、のべ16会場で全国大会が行われたバッハコンクール。そして、まもなく開幕を迎えるピティナ・ピアノコンペティション。実は、バッハコンの全国大会出場者の、翌年のピアノ・コンペティションへの参加率が大変高いことがわかってきました。昨年度(2017年度)の全国での上位入賞者が、次の年にどれだけピティナに参加したかを示しているのが次のグラフです。
もともと、コンクールの発足の理念が、4期の指導を極めていくなかで、バロック期のポリフォニーを学ぶことにまず焦点と軸足を置くことで指導力の一層の向上をはかる、というものでしたが、B部門で軒並み7割以上、A部門でも金・銀では6割以上の方が翌年コンペにチャレンジしているのは驚きでした。
当然、バッハコンクールやブルグミュラーコンクールに代表される提携コンクールと、ピティナ・ピアノコンペティションを併用している指導者は多く、2018年に提携コンクールに参加した指導者およそ4,000人中、半数以上が、コンペも指導していました。
以下では、提携コンクールとコンペの両方の指導を通じて得られた発想や課題などの気づきを語ってくださった3人の指導者の声を掲載しました。
一人でも多くの方が、次週開幕するピティナ・ピアノコンペティションへの参加、挑戦を通じて、なにごとかを発見しさらに充実した日々を歩まれますよう、願っております。
ポリフォニーの学びをベースに4期に取り組むために
近現代やロマンのほうが子どもの関心を引くというのは、本当だろうか、それは大人の目線ではないかと思うことがあります。
バッハやバロック音楽がいかにとてつもなく面白くて偉大か、古典期がいかに重要かということを、指導者がずっと語り掛けて、伝えようと努力していますと、生徒たちもバッハが好きに(または抵抗が少なく)なります。
バッハは本当にすべての基本なので、ピティナのコンペでいう4期で言うと、バロック、古典と学んでいれば、自然にロマン、近現代の習得につながるはずです。
逆にロマン、近現代が好きだからとか、関心を引きやすいからと言って、そちらを入り口に学んだ場合、その感覚がベースになり過ぎてしまい、バッハが難しくて複雑で、遠い世界になりかねないのではないでしょうか。
私は、コンペの4曲の選曲をする際も、バロックについては、しっかりとポリフォニーの学びのある曲を、こだわって、時に介入し選曲するようにしています。
バッハコンクールは、1曲だけで参加できるので、レッスンで教本などもしっかり並行させ、コンクールという理由で全く立ち止まらずに済みます。また、伸び盛りのときに2か月以上も同じ曲をやるのは無駄だと考えているので、予選と本選では曲を変えるようにしています。同じ曲を長く持ち続けて、音楽への関心ではなく、コンクールの勝ち負けに関心が移ってしまうと、コンクールが無い時期にはモチベーションが下がってしまう、というような本末転倒な事態に陥ります。そうならないように、曲を変えて、バッハの音楽の面白さを伝え、音楽に対する新鮮な関心を保ち続けられるようにしたいです。
私自身はこのようにして、ピティナ・ピアノコンペティションとともに、バッハコンクールをうまく活用していきたいと思うようになってきました。
指導の目標を高い方へと常に引き上げてくれるコンクール
私にとって、ピティナのステージの指導は、ステップ、ブルグミュラーコンクール、バッハコンクール、ピティナ・ピアノコンペティションの順で経験し、その都度、大きな発見を重ねてきました。
ブルグミュラーコンクールに出場させ始めた頃、ステップよりも指導者として仕上げ具合、完成度を追求するので、その気合が子どもにも伝わる(笑)のと、こちらの期待以上に生徒の実力が伸びるということを知りました。
また、その生徒の技術力や個性を見て、私が主導で選曲をすることが多いのですが、どうしても曲との相性がよくなかったこともあり、その反省を次に活かして、選曲の精度を徐々に上げることができている気がします。
それから(例えば)ブルグミュラーコンクールであれば、生徒によって解釈の違いや表現方法は色々あり、それぞれの弾き方を磨き上げれば良いと考えていました。しかし、昨年、ピティナ・ピアノコンペティションの指導にあたったときには、いくつかの筋道があるとしても、「なぜこう弾くか」、なぜその筋道を選んだかの根拠や追求が甘ければ、評価されないこともあるのを知りました。
逆に言うと、提携コンクールで「もう一段上の指導」を目指すことによって、そこを通過した生徒たちが、ピティナのコンペでもしっかり結果が出せるよう、指導者として研鑽しなければという気持ちになります。
もちろん、コンクールは結果がどうであっても、確実に生徒を成長させてくれるもので、生徒には、「なぜこう弾くか」を自分で考えられるようになることが一番大事、としつこく伝えていきたいです。
1曲の成功体験があれば、2~4曲に挑戦する自信につながる
バッハコンクールやブルグミュラーコンクールでは、皆さんある程度まで弾けていても、次の段階に通過できるのは残念ながら半分の方だけになります。ここで先に進むためには、より上を目指した演奏を追求しなければいけない事を学びます。
また、2段階目の全国大会・ファイナルに進むと、ピティナの全国大会でも使用する東京の一流のホールで弾くことが出来るので、大きなホールで弾くという経験を積むことが出来ます。
提携コンクールで、1音1音大切に1曲を仕上げ、努力する事が出来た場合には、ピティナのコンペで必要な2〜4曲に挑戦する自信に繋がっていくと思います。それは、教室の弾き合い会で、実際にピティナのコンペを経験しているお友達の演奏や話を聴くことによって、より身近に感じ、自分も挑戦してみようという気持ちになるようです。
私自身は、まず自分の子供を通じて恩師の質の高いレッスンを目の当たりにし、子供がコンクールの本番を経験することでこんなにも成長できるんだという事を身をもって知り、一人一人の生徒に対しても、それぞれの個性を活かしながら、辛抱強く磨き続ける姿勢を持つことの大切さを学びました。
ブルグミュラーコンクールで、私が選曲したかった課題曲に対して、どうしてもこれが弾きたいと言って別の曲で出場した生徒が、苦しみながらも最後の最後の本番になって、本当に素晴らしい演奏をして結果を出すことが出来た時は、驚きと喜びでいっぱいでした!
コンクールを通して私自身も新たに学ぶことが多く、更に子供の可能性の素晴らしさも発見することが出来ました。これからも生徒と共に成長していければと思います。